歌いたい歌は、キーが高くて歌えない。
カラオケでも、途中で止めてしまう。
でも、ボイトレに通うのはハードルが高い。
“それならそれなら、独学で練習してみよう。”
それがすべての始まりでした。
ただ、まったくの初心者。
高い声を出そうと、必死に歌い続けるだけ。
それだけを意識した練習。
すぐに喉が痛くなりました。
練習時間を確保しても、歌えるのは2、3曲。
それが何回も繰り返される。
やっぱり無理なんじゃないか。
独学には限界があるんじゃないか。
そう思うようになりました。
それが続いていたら、止めていたでしょう。
でも、脱出できる“気づき”があったのです。
ドキュメンタリー映画を見ていました。
好きなアーティストのものです。
ライブでは、キーの高い歌を、力を振り絞るような表情で歌われています。
でも、レコーディングシーンでは、同じ曲を、普通の表情で歌われていたんです。
つまり、力を振り絞るような表情は、高音を歌うために必要な要素ではなかったということです。
私は、ライブ映像をメインに見ていました。
高い声を出すためには力が必要だと思って、常に全力で、力を振り絞って練習していたんです。
でも、よく考えれば、ライブは何時間もある。
そんな歌い方では、身体が持たないですよね。
その時に、何か変だと思いました。
そういえば、私はそんなに歌えない。
それは、高音じゃなくても。
根本的な歌い方が間違っているのではないか。
そして、あることに気づきました。
それは、 “計算をしていなかった”ことです。
答えだけを求めていたのです。
“答え”とは、 高い声で歌えること。
“計算”とは、脱力や声帯や息などを調節して、掛け合わせること。
つまり、必要なことは、 “高い声で歌うためのポイント”を探して、調節して、掛け合わせる練習でした。
私の失敗は、計算をしていなかったこと。
才能があれば、それでもいいのでしょう。
残念ながら、私は違ったということですね。
それからの練習は、大きく変わりました。
ポイントを探すようにしました。
それらを再現し、掛け合わせるようにしました。
その結果、ついに、好きなアーティストの音域に届くようになりました。






