この記事では、 “6つ目の問題と対策”をお伝えします。
【6つ目の問題:歌唱中に、脱力が安定しない問題】
ボイトレを行う中で、 “歌唱中に、脱力が安定しない問題”が起こりました。
この問題への対策は、喉を開くことです。
これが、ポイント12です。

なぜなら、喉頭の周囲の筋肉が緊張して収縮する動きに対抗できるからです。
シンギングノートでは、 “喉を開くこと”とは、 “中咽頭収縮筋を広げること”としています。
そのような動きは可能です。
以下の文章をご覧ください。
“空気だけ通る咽頭鼻部は形が変わりませんが、咽頭の下3分の2にあたる部分は収縮、膨張、伸長といった動きが可能です。”
(『イラストで知る 発声ビジュアルガイド』 株式会社音楽之友社、著者 セオドア・ダイモン、訳者 竹田数章(監訳)、篠原玲子、2020年、p.62)
中咽頭収縮筋は、舌骨の後ろ側にあります。

中咽頭収縮筋は、ポイント2で脱力させる筋肉の1つである中咽頭収縮筋の内側に、一部が潜り込むように重なっています。

以下の文章をご覧ください。
“下咽頭収縮筋は、甲状軟骨の斜線を起点として上方後ろにカーブし、正中咽頭縫線に付着していますが、上部繊維は中咽頭収縮筋の繊維と重なっています。”
(『イラストで知る 発声ビジュアルガイド』 株式会社音楽之友社、著者 セオドア・ダイモン、訳者 竹田数章(監訳)、篠原玲子、2020年、p.64)
つまり、中咽頭収縮筋を内側から広げることで、喉頭の周囲の筋肉が緊張して収縮する動きに対抗できるということです。

なので、この問題への対策は、喉を開くことです。
てんとう虫のたとえ話を思い出してください。
後ろ羽を羽ばたかせられるのは、前羽を広げられているからです。
ただ、前羽を広げるという動作は、飛行中、ずっと維持しなければなりません。
後ろ羽を羽ばたかせるスピードを変化させたり、後ろ羽自体を変化させたり、雨に降られたり、強風にあおられたり、飛行中は色々なことが起こります。
そんな中でも、前羽の状態を維持し続けるのは大変です。
そこで、その対策として、前羽の下に支えを入れておきます。
私は、このポイント12の喉を開くという対策を、そんな感覚で使っています。

【ポイント12を練習するタイミング:ある程度、 “感覚”をつかんだ後】
ポイント12を練習するタイミングは、 “このボイトレを一通りやってみて、ある程度感覚をつかんで、さらに必要性を感じたタイミング”がオススメです。
なぜなら、喉を開くことで、他のポイントを再現する難易度が上がってしまう可能性があるからです。
このボイトレの流れを振り返ってみると、声帯の位置を基準に、他のポイントを再現させることが多いです。
言い換えれば、声帯の位置を正確に意識することが重要だということです。
このボイトレの順番で練習すると、ポイント3で声帯の位置を意識します。
そして、ポイント4で、その声帯に息を当てて振動を作ります。
この時、歌い初めで強い振動を感じるのは、声帯だけのはずです。
そのため、ポイント4では、声帯の正しい位置を、感覚的にも意識することができます。
では、最初に喉を開いた状態で、このボイトレを始めるとどうなるか。
喉を開いた状態でポイント4に進むと、歌い初めで強い振動を感じるのは、 “声帯”と“喉を開いて作った空間”の2か所になります。
そのため、声帯の振動だけを区別してとらえることが難しく、声帯の正しい位置を、感覚的に意識することが難しくなってしまうのです。
そして、ここで声帯の位置を間違えて意識してしまうと、これ以降のポイントを再現させるための基準がズレてしまうので、これ以降のポイントを再現させることも難しくなります。
喉を開くというポイントは、補助的なポイントです。
まずは、ステップ3までのポイントをしっかりと再現することが重要です。
補助的なポイントために、基本的なポイントを再現できなくなってしまっては、本末転倒です。
練習で一番怖いことは、できたつもりになったまま進んでしまうことです。
まずは、声帯の位置をしっかりと意識できる状況で練習した方がいいです。
なので、ポイント12を練習するタイミングは、 “このボイトレを一通りやってみて、ある程度感覚をつかんで、さらに必要性を感じたタイミング”がオススメです。
次は、 “ボイトレのコツ”です。
“ボイトレのコツ”用の記事へ進む場合は、こちらです。






