ポイント5は、高さの変化は、 “声帯の長さ”で作ることです。
なぜなら、ノドの構造に合っているからです。

ノドには、声帯を伸ばす仕組みがあります。
声帯を、 “前後に引っ張って”伸ばす仕組みです。

前側の筋肉が“輪状甲状筋”で、後ろ側の筋肉が“後輪状披裂筋”です。

輪状甲状筋と後輪状披裂筋は、声帯の“少し下”にあります。

輪状甲状筋と後輪状披裂筋を緊張させることで、声帯が伸ばされ、歌声が高くなります。

この動きに、無理をしている部分はありません。
なので、ポイント5は、高さの変化は、 “声帯の長さ”で作ることです。

注意点です。
声帯を伸ばす時に、喉頭の周囲の筋肉を緊張させないようにすることです。
なぜなら、 “声帯を伸ばす筋肉”と“喉頭の周囲の筋肉”は、連動しやすいからです。
以下の文章をご覧ください。
“…輪状甲状筋は声帯ヒダを伸ばすことでピッチを上げます。しかし、輪状甲状筋の活動はノドの筋肉を収縮させる動きと関連があるので、訓練を受けていない歌手は、ピッチを上げると次第に喉頭を締め付けたり、持ち上げたりすることが多くなります。”
(『イラストで知る 発声ビジュアルガイド』 株式会社音楽之友社、著者 セオドア・ダイモン、訳者 竹田数章(監訳)、篠原玲子、2020年、p.53)

補足です
歌声の高さは、 “息の量”でも変えられます。
ただ、息の量の変化には、注意が必要です。
息の量を過剰に増やすと、声帯の形を周囲の筋肉で支えようとします。
その時に、声帯同士を押し付けてしまうのです。
また、 “喉頭の周囲の筋肉”を緊張させてしまうこともあります。
その状態で、強引に高さを上げようとすると、ノドを痛めてしまいます。
なので、歌声の高さの変化は、 “声帯の長さ”で作ります。


