この記事では、ステップ1-3をお伝えします。
まずは、 “ステップ1-3のたとえ話”です。
【ステップ1-3のたとえ話:スピードを上げられないてんとう虫の話】

ステップ1-2のてんとう虫の話を思い出してください。
そのてんとう虫は、まだ羽化したばかりで、空を飛んだことがありませんでした。
なので、目的地を目指す前に、 “安全な場所で”、“無理なく”、空を飛ぶ練習を行っていました。
そして、前回までに、安定して飛び続けられるようになりました。
ここからが続きです。
そのてんとう虫は、大変なことを思い出します。
それは、目的地への道中には、自分よりも飛ぶスピードの速い敵がいるということです。
今の羽ばたかせ方では、その敵からは逃げ切れません。
そこで、そのてんとう虫は、 “後ろ羽を羽ばたかせるスピード”を上げてみました。
ただ、そのてんとう虫は、その動きに慣れていません。
再び、余計な筋肉に力を入れてしまうのです。
そうなると、 “後ろ羽を羽ばたかせるスピード”を上げるたびに、不安定な飛行になります。
それでは、飛ぶスピードを上げられません。
そのため、次は、 “後ろ羽を羽ばたかせるスピード”を上げながら、後ろ羽をきれいに羽ばたかせる練習を行いました。
その結果、飛ぶスピードを上げられるようになりました。
ステップ1-3でも、これと同じ練習を行います。
それが、 “歌声の高さを上げながら”、声帯をきれいに振動させる練習です。
では、ステップ1-3です。

【ステップ1-3: “歌声の高さを上げながら”、声帯をきれいに振動させる練習】

ステップ1-3は、 “歌声の高さを上げながら”、声帯をきれいに振動させる練習です。
ここで、初めて、歌声の高さを変化させます。
ただ、この練習は、地声の音域を広げるための練習ではなく、 “現状の音域内で”無理なく歌声を出すための練習です。
なので、この練習では、無理に地声の音域を広げようとはしません。
無理なく出せる範囲です。
ここで使うポイントが、ポイント5です。
ステップ1-3では、ポイント5を再現できるように練習します。
では、ポイント5です。

【ポイント5:歌声の高さを変化させる時は、声帯の伸縮を基本とすること】

ポイント5は、歌声の高さを変化させる時は、声帯の伸縮を基本とすることです。
なぜなら、ノドの構造に合っているからです。
ノドには、声帯を伸ばす仕組みがあります。
声帯を伸ばす時は、前後で引っ張ります。

前側の筋肉が輪状甲状筋で、後ろ側の筋肉が後輪状披裂筋です。

輪状甲状筋と後輪状披裂筋は、声帯の“少し下”にあります。

輪状甲状筋と後輪状披裂筋を緊張させることで、声帯が伸ばされ、歌声が高くなります。

この動きに、無理をしている部分はありません。
なので、ポイント5は、歌声の高さを変化させる時は、声帯の伸縮を基本とすることです。
注意点は、声帯を伸ばす時に、喉頭の周囲の筋肉を緊張させないようにすることです。
なぜなら、 “声帯を伸ばす筋肉”と“ポイント2の喉頭の周囲の筋肉”は、連動しやすいからです。
以下の文章をご覧ください。
“…輪状甲状筋は声帯ヒダを伸ばすことでピッチを上げます。しかし、輪状甲状筋の活動はノドの筋肉を収縮させる動きと関連があるので、訓練を受けていない歌手は、ピッチを上げると次第に喉頭を締め付けたり、持ち上げたりすることが多くなります。”
(『イラストで知る 発声ビジュアルガイド』 株式会社音楽之友社、著者 セオドア・ダイモン、訳者 竹田数章(監訳)、篠原玲子、2020年、p.53)
ポイント2で確認したように、喉頭の周囲の筋肉を緊張させてしまうと、 “喉頭における声帯を伸ばす動き”を妨げてしまいます。
なので、ステップ1-3を行う場合は、喉頭の周囲の筋肉を緊張させないように注意します。
以上が、ステップ1です。
次は、ステップ2に進みます。
ステップ2用の記事へ進む場合は、こちらです。






